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Fig−2. Image of "Eco−Port Plan of Sakai−Senboku Port"

3−2. 礫間接触酸化法実験
環境共生港湾の実現にむけたハード面の技術的取り組みとして、第三港湾建設局等で港湾施設への導入検討が進めているのが礫間接触酸化法である。
(1)礫間接触酸化法の原理
水辺の岩や石の表面に付着し薄い膜を形成している微生物(バクテリア)は、海水汚染の一因でもある有機性物質を分解して生息している。
礫間接触酸化法は、海水を礫の間隙を通過させることで礫表面の生物膜に触れさせ、海水中の有機汚泥物質などを分解させる、自然本来の浄化能力を活用する浄化方法である。
人工的に造られる港湾や海岸の構造物に、この浄化作用を付加させていくことの検討がなされている。

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Fig−3.Example of Application to Break water

(2)現地構造物への適用に向けて
この作用を実際の港湾構造物に適用するにあたって、効果、維持管理の課題を把握するため、1994年より尼崎西宮芦屋港の東堀運河に、現地実験水路を設け、現地実験を行っている。この中で、緩やかな水流で高い効果が確認され、最大で、濁り約8割、SS5〜6割、COD1〜2割の浄化効果のほか、一般細菌や大腸菌などの除去効果も確認された。
閉鎖性の高い大阪湾内でも、潮流、波浪、潮汐などの海洋エネルギーを活かしながら、浄化効果が期待される礫間接触酸化法について、建設コストの検討、試設計作業が進められているところである。
3−3. 大阪湾フェニックス計面
内陸の廃棄物最終処分を通じて、大阪湾地域の生活環境の改善に努めている事業として、大阪湾広域臨海環境整備センターの進める大阪湾フェニックス事業がある。
(1)フェニックス事業の仕組み
一般廃棄物、産業廃棄物、陸上残土や浚渫土砂等のいわゆる廃棄物は、発生量抑制、資源化、減量化等の努力が図られている。しかし、なお最終処分場の確保は不可欠であり、特に都市化の進む地域では、これを内陸に確保することは困難となっている。一方、湾内各港においては、船舶の大型化や取扱貨物の増大等に対応した新たな土地需要を抱えており、空間的制約の中で廃棄物処分のみを目的とする空間確保は困難な状況であった。
こうした中で生まれた仕組みが、複数の府県から発生する廃棄物を適正に管理しながら港湾の海面埋立を行い、新しく生まれた土地を物流等の港湾都市活動等に活用していく、いわゆるフェニックス事業である。
(2)大阪湾フェニックス事業の概要
広域臨海環境整備センター法制定翌年の1982年、近畿2府4県159市町村と4港湾管理者の出資により、大阪湾広域臨海環境整備センター、いわゆる大阪湾フェニックスセンターが設立された。計画に基づき1987年に廃棄物埋立護岸等の整備に着手、1990年から尼崎処分場で、また1992年より泉大津処分場で受入が進められている。
1995年度末現在、尼崎処分場では1,500万m3の計画容量の約62%、また泉大津処分場では3,000万m3の計画容量の約32%の廃棄物が受入処分されている。埋立て後の利用用途の固まった埋立が行われており、廃棄物の受入に当たっては、埋立地盤の早期の安定確保、安全でかつ空隙の少ない地盤の形成のための受入基準を設けると共に、周辺海域環境監視等も進めながら受入を行っている。
現在、1990年代末には一杯になることが見込まれる管理型処分場の確保に向け、新しい基本計画の策定作業が進められている。新たに計画する処分場においては、傾斜護岸構造の導入等も行い、生物生息環境の創造にも配慮した計画がなされている。

 

 

 

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